セミナーなどの企業イベント映像・撮影 音声収録編-2 応用編
【動画制作オプトインクがお伝えするお役立ち動画コラム】
前回から記載している、企業イベント映像・撮影の第2回目を記載していきたいと思います。
①音声収録-1 基本的な音声収録
②音声収録-2 応用編
③投影されたスライドの収録
④人物映像の撮影
⑤1ショット撮影以外が必要になるよくあるシーン
⑥音声調整(編集時)
今回は、②音声収録-2 応用編です。
前回記載した内容は、スタンダードであり、できれば毎回実現したい内容ですが、
撮影場所によっては
「会場に音声の用意を断られた」
「PA卓から自分でとって下さいと言われた」
「PA卓やスピーカーがない」
などの会場にライン音声を用意してもらえない場合もあります。
ホールや大き目な会場でしたら稀ですが、小規模会議室や研修会場になるような場所ではあり得ることです。
そうなると自分でライン音声を用意するか、準ずるものを準備する必要がでてくるのです。
そして、そうなった場合確認しなければならないのは
①PA卓は会場内にあるのか。そして、PA卓の出力に空いている箇所はあるのか
②会場にスピーカーはあるのか、そのスピーカーはどういったものなのか
(天井埋め込み、ステージ両脇に立ててある、街灯演説などで使われるようなマイク一体型のスピーカーなど)
③マイクやスピーカーはなく、地声だけで行うしかない
上記3項目であり、①-③の順番で確認していきます。
①PA卓は会場内にあるのか。そして、PA卓の出力に空いている箇所はあるのか
PA卓が会場にある場合、そのPA卓から音声がとれる可能性は比較的高いです。
ただ、会場に音を流したりと出力端子が埋まっていることもありますので絶対ではありません。
さて、PA卓の出力端子には代表的なものが3つあります
これらの端子がメインアウト・サブアウト・RECアウトなどと記載されていて差し込めるのです。(PA卓によっては背面にあります)
基本的に会場のスピーカーに流す音声はこれら出力しているので、埋まっている可能性は高いですが、こういった対応をとる際は、すべてに対応できるように用意しておいた方が良いでしょう。(端子が必ず、メス側ということもないので、オスメス変換も一緒に持っていく)
ですが、それらがすべて埋まっていても、PA卓に来た音声を直接聞くためのヘッドフォン(イヤホン)端子はほぼ空いています。
フォンジャックで刺しこむことになるのですが、音声が割れて出てくる可能性が高いので注意が必要です。
PA卓のマイクのメーターをみても、ピークまで行っておらず、会場から流れる音声も割れていない。
だが、ヘッドフォンアウトから出力した音声は割れてでてくるということがあり得るのです。
これは、ヘッドフォンの音量つまみが上がりすぎていることに原因があるのですが、話者の声量によっても異なります。
私の場合はボリュームのつまみ3割から4割程度を目安にし、実際にマイクで大きな声をだし、調整を行っています。(大きな声は政治家の街頭演説くらいをイメージしています)
上記の箇所から音声を抜き出し、キャノンケーブルを会場で引き回して撮影ポジションまでもって収録を行います。
②会場にスピーカーはあるのか
次に会場にPA卓がなく(すべて出力が埋まっているなど)、マイクとスピーカーだけが置いてあるケースもあります。
その場合は、スピーカーに別用意のマイク(ダイナミックマイクやカメラのガンマイクなど)を極力近づけ、周囲の音が入らないようにして収録します。
ここで気を付けないといけないのは、スピーカーの形状と場所です。
天井埋め込みなどの場合は天井に極力マイクを近づけられるようなスタンドが必要になりますし、ステージ脇にある場合は、目立たないようにコンパクトな機材にする必要があります。
このような場合、アッテネーターの調整ができ、かつコンパクトなワイヤレスのピンマイクを使う場合もあるのですが、個人的には混線する可能性があるものを長尺のセミナーで使うのはできれば避けたいところです。
できる限り1系統は有線で取ったほうが良いと考えています。
そして、会場から街頭演説で使うような簡易移動型のマイクスピーカーを渡される場合もありますが、やることと確認することはおおむね上記までと変わりません。
出力端子はあるのか、ヘッドフォンアウトなら音量のつまみの位置と音割れを確認し、それらで対応できなければマイクを別で用意し、極力近づけて収録します。
③マイクやスピーカーはなく、地声だけで行うしかない
さて、これが一番の問題なのですが、こういった場合、収録側でマイクを用意するしかありません。
その際、確認・調整をしないといけないことがあります。
それは、
・同時に複数人が話したりするかどうか
・掛け合いはあるのか
・会場に演台はあるのか です。
1度に登壇する話者1名で掛け合いなどもなく、かつ演台があれば、卓上マイクをそこに置き、キャノンケーブルを収録場所まで引けば解決できます。
※司会の声は残せなかったりしますのでアウトプット次第というところもあります。
画像は卓上マイク例
ただ、研修で歩き回ったりする・登壇のあと複数人でパネルディスカッションを行うとなると上記のことでは解決できません。
そうなったら、音響業者に発注すべきだと思いますが、一応対処案を記載しておきます。
①全員の座り位置に卓上マイクをおく、ワイヤレスマイク(他からの混線覚悟)で収録する。
ただ複数系統の音声を収録するにはミキサーやマイクの本数分×引っ張るキャノンケーブルが必要になったり、マイクの位置を整える人員が必要になったり、ワイヤレスマイクの付け替え、電池残量の確認・交換する人が必要になったりと、運用人員・機材が一気に増えてしまいます。
②登壇する方の付近に2-3本の高指向性ガンマイクをたてる
こちらも機材量が増えます。かつライン音声などとは比べ物にならないほど、環境音が入り、アウトプット時の声も聞きにくいものとなります。
一番の対処法は、そういった会場で行わないこと、予算などの兼ね合いがある場合は全てを求めず、割り切る順位を決めて収録することです。
まとめ
セミナーや研修など映像のきれいさより、登壇で行ったことが分かりやすく、聞き取りやすいということが、一番大切だと思います。
普段テレビなど見ていると聞きづらい音声は存在しません。
そのためか、音声はきれいで当たり前という考えが無意識的に私たちの中にあるのです。
その当たり前を実現するには、しっかりと事前確認・準備を行う必要があります。
企業映像は自分だけの想い出ビデオではなく、顔も知らない第3者が見る映像なのだということを念頭において対応頂けたらと思います。
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オプトインク 森田眞弘2011年から映像制作・技術会社にて企業映像や記録・配信映像にて |