三脚の話し
【動画制作オプトインクがお伝えするお役立ち動画コラム】
今回は余談要素が強い話です。
まだ、請負の撮影仕事だけしていたフリーランス時代。
当時、映像・撮影歴はある程度ありましたが、フリーランスとしては駆け出しでお金もあまりありませんでした。
カメラ持ち込みの仕事も少なく、機材を持っていなくても仕事が成立していましたが、少しづつでも単価を上げるべく、案件によっては持ち込みも検討していたのです。
機材の発展・革新・流行は早く、なんのカメラを買えば良いのか日々悩んでいました。
一眼系が良いのか、シネマカメラが良いのか、ビデオカメラが良いのか・・・
いずれにしろプロとして仕事をする限り「予備機」も必要で、1台買えば良いというわけではなく、バッテリーやレンズなど付属するものも多く。
1セット(カメラ2台+レンズ複数本+SDカード複数枚+遮光フード+雨養生+予備バッテリー3-5個)
をそろえるだけで100万は軽く飛ぶという状況でした。これはどのセットでもあまり変わりません。
※100万以上使っても数年後には買い換えないといけなくなる
少しでも前線で長く使えるカメラは何だろう・・・と思っていたのですが、、、答えは出ず、私は単価上げではなく、案件数の向上に注力しようと思ったのです。
長く使えて息の長い機材で、案件数が多くなる。
要するに自身の撮影能力が向上するような機材をはじめに買ったのです。
それが三脚です。
手持ちの撮影では無縁のものですが、配信・記録などカメラマンとして三脚を使うというのは必須項目であり、良い三脚だと自分がうまくなったと錯覚するほど違う、というのは会社員時代に経験済みだったこともありました。
かつ、75π・100πの2種類が当時の私の環境では大部分を締め、同じπのものであれば他のメーカーのものでも三脚のヘッドは流用できるため、三脚を買うことにしたのです。
※一部ネジの長さや機構が違うため流用できないものもあります。
三脚を選んだ基準
①乗せるカメラの重量
②三脚自体の重量
③バックラッシュの有無(カメラを振って止めたときのより戻し)
④カウンターバランスの形式(段階式か無段階か)
⑤機械式か油圧式か
上記5項目で三脚を選びました。
当時、一眼やハンドヘルドの業務機が撮影の大部分を締めていたため、乗せるカメラの重量は重くても2-3キロでした。
ただ、前後に長いカメラもあり、多めに見て5キロ程は耐荷重のあるヘッドという観点で考えました。
その時点で75πの三脚ということがまず決定しました。
そして、ただ乗れば良いというものではありません。カメラのティルトを上げ下げして手を放しても止まるというのが絶対条件でした。
※カウンターバランスが無段階のものの方が手を離したときにしっかり止まってくれます。
当時この条件をある程度満たす三脚は
マンフロット502.504
ザハトラACEM.L
リーベック RS250
ヴィンテン VIJON BLUE
という機種であり、502以外は今でも現場で良く見かけます。
そしてここで②の三脚自体の重量を考えると
マンフロット502
ザハトラACEM.L(Mはアルミ製、Lはカーボン製Lの方が耐荷重が多く、高価だが軽い)
リーベック RS250
が残ります。
③バックラッシュの有無でいうと新品はどの三脚もほぼバックラッシュはありませんでした。
その中でも個体差はあれどザハトラのACE M.Lの2機種が特にバックラッシュがありませんでした。
④カウンターバランスの形式
前述のカメラにてカウンターバランスが無段階のものは、
リーベック RS250
ヴィンテン VIJON BLUE
だけでした。
こうなるとリーベック RS250という選択肢になるかと思いますが
最後の⑤機械式か油圧式か
で選択を覆したのです。
機械式と油圧式の大きな違いは、カメラを振った時の出だしです。
寒いところでは油圧式は油圧が固まり出だしが重いのです。
カメラワークをして摩擦熱で温まるとと「ぬるぬる」動くのですが、それまでの動きが硬いのです。
※油圧式でもカメラの重量がもっと重い・もっと高価なものだとそれほど感じません。
その硬さが私にとって苦痛でした。
そこで手を放してもどの位置でも100%とまるを捨て、機械式三脚でカーボン製のザハトラACE Lを購入したのです。
※ザハトラACEMは一時期10万以下で買える三脚の中でコスパ最強と言われていたほどです。
購入は大正解で仕事量が増え、撮影のストレスが減ったのをよく覚えています。
この時買ったザハトラACE Lはヘタってきていますが今でも現役です。
ただ、ヘッドが小さい分望遠に弱いという弱点があり、現在では用途によって三脚を使い分けています。
※FSB8とヴィンテン VIJON BLUEなども軽いカメラの時は使ってます。
ちなみに
・リグを組まない一眼やあまり望遠にせず、横の動きがメインの場合 ザハトラACE L
・縦の動きが多く望遠時に1m単位でカメラを動かす撮影 ヴィンテン VIJON BLUE
・縦、横の両方動きがあり、望遠にもして寒い時や外の撮影 FSB8
というように使い分けています。
まとめ
これまでの撮影人生で思ったことは、なんにでも使えてこれを買えば大丈夫というものは三脚にも存在しないということです。
さらに言えば、グランドスプレッダー・ミッドスプレッダーなどスプレッダーによっても購入を検討しないといけません。
※私はより高くなり、低くなるグランドスプレッダーをはじめに買いましたが、今は両方所持し用途によって使い分けています。
さて、色々記載してきましたが、自身の三脚を使い続けるとその三脚の癖になれ、他の三脚が使いづらくなるという弊害もあります。
そして、選ぶ基準は人それぞれです。何を選べば正解かは「好みによる」というのが身もふたもないですが至った結論です。
以上余談でした。
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この記事を書いた人
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オプトインク 森田眞弘2011年から映像制作・技術会社にて企業映像や記録・配信映像にて |